「ストレンジャー/ビリー・ジョエル」 77年  評価5


 前作で素質の片鱗を見せたビリーが、自身が望んだフィル・ラモーンをプロデューサーに迎えた5作目で、本作で一気にスターダムに上り詰めた。

 確かにメロディメーカーとしての才能が着実に成長していることもあるが、一流のプロデューサーを初めて迎えた結果として、ビリー独自の色(エルトンのイギリス育ちのピアノマンに対して、ニューヨークのピアノマン)を出すことに成功したことが本作成功の最も大きな要因だろう。

 名曲中の名曲「素顔のままで」を収録したA面は、このあとの作品で強くなるニューヨークの雰囲気を感じさせ、トータル的に極めて質が高い。B面も隠れた名曲「シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン」をはじめ、無駄なく佳曲を揃え、ビリーの作品の中では最もトータル性の高いアルバムである。